都道府県に置く「合議制の機関」の概要が明らかに 
−公益認定を行う第三者機関とは−
2006年9月25日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
CEO兼主席研究員 福島 達也

内閣府に置く公益認定委員会と似た都道府県下に置く合議制の機関

 現行の公益法人にとって一番気になるのが、公益認定に関する情報であろう。今回の政令は、内閣府に置く「公益認定等委員会」のことではなく、都道府県に置く「合議制の機関」の組織及び運営の基準についてであるが、少しずつ法律施行に向けて動き出していることがわかる。

 この政令を受けて、各都道府県では、どのような組織を作ればいいかがわかってきたであろう。もちろん、基準に関する政令ではないので、あくまでも組織運営上のことであるが、いよいよ都道府県としても腰を上げざるを得ない。

 今回の政令は、たった11条しかないが、委員の数も内閣府の7人に比べると、3人以上となっているなど、内閣府に比べるとかなり負担は軽くなっていることがわかる。認定基準に関しては、全国における水準維持を明記するなど、やはり、内閣府の基準に合わせることが約束されそうだ。

 内容は以下のとおり。


公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五十条第一項に
規定する合議制の機関の組織及び運営の基準を定める政令の概要


 行政改革を進める上で、「民間が担う公益」の重要性がますます増大し、その担い手である非営利法人の役割が今後の我が国の社会を活力あるものとするには不可欠であることにかんがみ、政府は、公益法人制度改革関連三法の施行に当たっては、次の諸点について十分配慮し適切な措置を講ずること。

1.背景
 上記合議制の機関については、平成19年4月以降の設置に向け、都道府県において予算要求、条例制定等を行っていくこととなるが、そのためには国より都道府県に対し、合議制の機関についての組織及び運営の基準を示す必要がある。都道府県の作業は平成18年9月初旬を目途に開始されることから、これに間に合うよう本政令を公布するものである。
 一方、国に設置される公益認定等委員会の組織令については、本政令と同内容の事項も含むが、当該組織令には事務局の内部組織規定等平成19年度予算要求に関連する事項も含むため、予算関連事項の目途が立った後に立案することとする。

2.政令の概要
 都道府県知事が行う公益法人の認定、監督等の全国における水準維持と、都道府県の自主性尊重の2つの観点を考慮し、都道府県に設置される合議制の機関の組織及び運営に関する一定の事項は、国に設置される公益認定等委員会に準ずるものとすることを規定している。
(1) 公正・中立・専門性の確保
委員の人数(下限のみ)(第2条)
委員、専門委員及び部会員の資格要件(第3条、第9条第2項、第10条第2項)
委員の服務(第7条)
専門委員及び部会の任意的設置(第9条第1項、第10条第1項)
(2) 意思決定の透明性確保
委員長の選出方法等(第8条)
部会員の委員長指名、部会長の選出方法等(第10条第2項〜第5項)
会議招集権の所在、定足数、議事決定方法等(第11条)
(3) 行政機関からの独立性確保
委員の任期(第4条)
委員の独立職権行使(第5条)
委員の身分保障(第6条)

 一方、国に設置される公益認定等委員会について法律に規定されているその他の事項(委員任命に関する議会同意、委員の必要的罷免、委員の給与、その他手続的事項等)に関しては、都道府県における住民直接統制の存在、都道府県の自主性尊重の観点等から本政令には規定せず、都道府県の自主性に委ねることとする。

3.施行期日
 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律附則第1項第2号に掲げる規定の施行の日(公布の日(平成18年6月2日)から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日:平成19年4月頃を想定)


非営利法人総合研究所

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